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蜜香茶(mì xiāng chá)

蜜香茶は花蓮縣瑞穂郷鶴舞村「嘉茗茶園」高肇昫・粘筱燕夫妻と「東昇茶荘」粘阿端(粘筱燕さん姉)が研究開発したお茶で、蜜の香りがするお茶ということで「蜜香茶」と命名しました。花蓮縣が無毒栽培(無農薬栽培)を推奨し茶園管理を無農薬で行ったところ、温暖な気候が災いし茶の害虫「小綠葉蟬」ウンカが大量発生し、収穫量が大きく下がってしまったことから対策法を生み出しました。ウンカによる食害(吸害)は茶葉の成長を妨げ、茶葉が肥大化できなくなります。これらの茶葉には独特の香気が生じることは東方美人茶からわかっていました。当初、東方美人茶製法などを試してみましたがうまくいかず、緑茶系、紅茶系、白茶系、烏龍系など試行錯誤の結果、紅茶製法(功夫紅茶・大葉紅茶)を応用することで独特な香気を持つお茶が作れることがわかりました。
摘採は東方美人茶と同じウンカ芽(ウンカの食害を受けた新芽)、萎凋方法、揉捻方法、発酵方法、乾燥方法を従来の小葉紅茶と異なる独自の方法を生み出すことで、蜜香と言われる蜂蜜のような甘い香りを生み出すことができました。現在では蜂蜜の香りが強い「蜜蜜香」、果実系の香りが強い「果蜜香」、花の香りが強い「花蜜香」と特色のある蜜香茶が出来上がりました。(香りの名称は茶香好友命名)
「嘉茗茶園」によると「茶菁嫩芽透過異常代謝途徑生成2,6-二甲基-3,7-辛二烯2,6-二醇這種特殊香氣成分,而這種特殊香氣在極低的濃度下,即可引誘一種叫『白斑蜡蛛』的天敵,讓白斑蜡蛛去覓食小綠葉蟬,這是茶樹為了呼救天敵,捍衛自己所生成的防禦機制」。茶葉は虫害により2,6ジメチル、3,7オクタジエン、2,6ジオールを生成し、ウンカの天敵「蜘蛛」を呼び寄せ自己防衛機能を働かせます。
「嘉茗茶園」は2006年全世界のお茶が集まるコンテスト第一回「天下第一名茶大賽」紅茶で優勝したことから「蜜香紅茶」の名前が全国区となりました。2010年第八回「國際名茶評比賽」で再度世界制覇したことから、蜜香紅茶の知名度は世界レベルになりました。
茶業改良場台東分場と技術を共有し各種蜜香茶の開発が進み、蜜香紅茶は花蓮縣瑞穂郷を代表するお茶となりました。現在では全台湾、日本、大陸など世界的に生産されるお茶になりました

  • 紅茶系:蜜香紅茶
  • 緑茶系:蜜香緑茶・毫香碧綠茶
  • 烏龍系:蜜香烏龍茶
  • 「蜜香」は俗に「蜓仔氣」と呼ばれる。「蜒仔(yán zǎi)」(台湾語発音En A)は「ウンカ」
    蜒仔茶は、新竹縣北埔、峨眉,苗栗縣頭份、三灣、頭屋一帶の東方美人茶,台北縣「石碇美人茶」、桃園縣的「龍泉椪風茶」、南投縣鹿谷郷「凍頂貴妃茶」、梨山「典藏黑金」、花東縱谷蜜香綠茶、蜜香紅茶などに使われる名称です。

    「蜜香茶」はウンカ芽を手採で採茶するため、東方美人茶と同様に摘採費用(人件費)が非常に高いお茶です。さらにウンカ発生状況によっては収穫量が少なくなることもあります。手間がかかるお茶で人件費が高騰している状況では高額のお茶となってしまいます。近年ではウンカ芽を使わず「焙煎」で焙煎香を作り比較的安価で蜜香茶という名前で販売しているお茶もありますが、味も香りも劣ります。

    ウンカ芽であれば品種を問わず生産可能ですが、品種によって香りの出方が変わります。特に「大葉烏龍種」の蜜香茶は独特の香気と味わいがあり品質が良いと言われます。大葉種系の台茶18號(紅玉)ではウンカの影響が少なく品種香が蜜香より強く、強い蜜香香のあるお茶にはなりにくいと言われてますが、ウンカが強くつくと「奶香」と呼ばれる香りが蜜香香とともに現れます。このようなお茶は偶然の産物で非常に生産量が少ないお茶です。

    蜜香茶
    高夫妻と粘姉妹
    蜜香茶
    ウンカの幼生
    蜜香茶
    ウンカ
    蜜香茶
    ウンカ芽(蜜香茶の原料)

    小綠葉蟬的舞姿(嘉茗茶園より提供)

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