今週の一枚 2008年4月-6月

2008年4月

2008.04.03「殺菁」 2008.04.10「解塊」
今週の一枚2008.4.03 今週の一枚2008.4.10
2008年春茶製茶実習の季節が到来しました。日光萎凋、室内萎凋を経て茶葉内の水分を少なくするとともに、よい香りだけを残した茶葉たちは「殺菁」作業に突入。台湾釜と呼ばれる殺菁機は鉄製とステンレス製があり、素材によって熱伝導率が違うので設定温度が違います。熱源はプロパンガスの直火で釜を熱します。奥行きがあるので茶葉を投入するときに、手前だけに偏らず奥までしっかりと平均的になるように注意が必要です。火から下ろすタイミングはズバリ茶葉の香りの変化と茶葉の手触り感です。200度以上に熱せられた釜の中に手を突っ込み、茶葉をつかんで香りを確かめ、さらに握りしめて手触り感を確かめます。この作業が終わるとお茶にまた一歩近付くことになります。この感動を味わいたい方は製茶実習でどうぞ。
***写真は製茶実習「走水」***
2008年春茶製茶実習が月末に迫ってきました。殺菁、揉捻を行った茶葉を乾燥機に入れる前によくほぐす作業が行われます。殺菁で加熱した茶葉は揉捻作業で冷めることなく、湯気が盛んに上がっている状態です。熱いというより暖かいといった温度で茶葉を触ると「オォ!」こんな声が上がります。茶葉を触った手は茶葉の油分でツルツル、香りも茶葉の香りがして洗いたくなくなるほどです。ここでよく茶葉をほぐしておかないと、乾燥器から出てきたときにダマになりお茶として飲めなくなってしまいます。量の多いときは機械で作業を行うのですが、一度この感触を覚えてしまうといつまでも触っていたい衝動を覚えます。この状態で冷凍保存したものが「冷凍茶」として販売されていますね。この時点で、もう飲んでもおいしいお茶になっているんですよ。この感動を体験したい方は製茶実習でいかがですか。
***写真は製茶実習「解塊」***
2008.4.17「高肇昫茶師」 2008.4.24「茶摘み」
今週の一枚2008.4.17 今週の一枚2008.4.24
花蓮縣瑞穂の名人「高肇昫」茶師です。花蓮縣のコンテストは「縦谷茶比賽」、ここで何度も青心烏龍組得特等奨、その他組(金萱、翠玉など)特等奨を独占しているのが高茶師。茶畑は玉山の伏流水が噴出する場所にあり、水質の良さが茶葉の香りを清らかにしています。加えて太平洋から吹く潮風が独特の香りをプラスしています。瑞穂台地は金萱茶の栽培に適した気象条件、山の部分は青心烏龍茶の栽培に適した気象条件で良質なお茶の産地として有名です。高茶師はウンカ芽を利用した緑茶(蜜香緑茶)や紅茶(蜜香紅茶)を初めて技術をつくりあげた人としても有名です。
***写真は花蓮縣瑞穂「高肇昫」茶師***
台北縣坪林郷にて文山包種茶を自分たちで、茶摘み、日光萎凋、送水、殺菁、揉捻、乾燥、焙煎の工程を踏み美味しいお茶に仕上げようという、製茶実習が今週末開催されます。初めて自分たちで作ったお茶を飲んだ時の感動は言葉で言い表せません。それが二度、三度と回数が重なると、もう少しここを工夫すれば、あの時こうすればと欲が出てくるものです。そこでお茶づくりの難しさをもう一度再認識することになります。茶摘みはすべての始まり、順調に育った茶葉の良いところだけをひと芽、ひと芽手摘みで摘み取ります。日本茶とは違い、茶葉の表面から夜露が消えたころが茶摘み開始の合図。さて今年は我々にどんな顔を見せてくれるのか楽しみです。
***写真は製茶実習「茶摘み***

2008年5月

2008.5.1「台灣鉄道、自強號」 2008.5.8「中山地下街」
今週の一枚2008.5.1 今週の一枚2008.5.8
台灣において新幹線が開通するまで最速の列車であった「自強號」です。台北から南の高雄方面へ向かう南下ルートと、北の基隆から東部海岸を南下していく北上ルートがあります。各駅停車から特急まで、当然停車駅が違うので利用には注意が必要です。切符は自動販売機から窓口販売まであり、窓口販売なら行き先のメモを見せるだけで一番早い列車のチケットが購入できます。台北駅より花蓮縣瑞穂駅まで約4時間で591元と料金も安く座席も指定です。座席指定とはいえ先に不法占拠?しているケースが多いので、ためらわず席を替わってもらいましょう。車内は清潔でトイレ完備、車内販売もあります。また、ごみの回収も頻繁に行われているので散らかることもありません。途中検札に来ますが、寝る人のために休息用切符が添付されており、前座席の背もたれに差し込んでおけばOKと至れり尽くせりです。台灣の旅に列車を利用するのも楽しいですよ。
***写真は台灣鉄道「自強號」***
台北駅、中山駅、雙連駅を結ぶMRTの上に地下通路があります。中山地下街として登場しましたが、現在の地下街は閑散としております。中山駅周辺と雙連駅周辺には店舗がいくつかありますが、途中の通路はシャッターが下りたままです。ただ、中山駅と台北駅を結ぶ通路の途中では夕刻よりストリートダンスの練習をしている学生が大勢いてにぎやかです。あとは中山駅と雙連駅を結ぶ通路に書店がたくさん入っているので、書籍を探したい人には最高かも。でもこの寂しさは多くのショップがある台北地下街とは対称的な様子ですね。オープンした当初はもっと多くのショップがあり飲食店などもあったのですが、復活はしないのかな。個人的には散歩コースとしてとても好きなんですが。
***写真は中山地下街「中山駅より台北駅」***
2008.05.15「紅玉紅茶・台茶18号」 2008.05.22「青心柑仔・台湾緑茶」
今週の一枚2008.5.15 今週の一枚2008.5.22
台湾で一番新しい栽培品種「台茶18號」は別名「紅玉」として誕生しました。まだ、試験場や一部の農家しか栽培をしておらず入手困難なお茶の一つです。徐々に評判が高まるにつれ栽培面積も拡大すると思われます。この品種は大葉烏龍種と台湾の在来種を掛け合わせて作られたもので、天然の肉桂(シナモン)や薄荷(ハッカ)の香りあるという特徴があります。管理人は実際の茶畑を花蓮縣瑞穂郷で確認してきました。栽培にはひと工夫されており、金針花(百合の一種で食用)を茶樹の両側に挟むように植えつけられています。茶樹だけ植えるより茶葉の香りがよくなるという効用があるとのこと。もちろん有機肥料と無農薬管理で茶葉の安全性は確保されています。茶葉は大きくなると手のひら程度まで成長しますが、紅茶に使用するのは新芽が育ち、少し熟成したころ。ちょうどこの写真の状態から1週間後が最適なんです。この点は包種茶とは少しタイミングが違いますね。この茶畑から作られた「紅玉紅茶」は茶香好友WebShopにて限定販売中です。ぜひこの機会にお試しください。
***写真は台茶18號「新芽」***
台湾緑茶を生産するのにかかせない品種「青心柑仔」です。台北縣三峽鎮は台湾緑茶最大の産地、この地特有品種として青心柑仔を栽培しています。手摘み一芯二葉の茶葉からは台湾碧螺春・台湾龍井茶が作り出されます。毎年3月から5月と11月から12月にが一番おいしいお茶が作られる時期です。台湾緑茶を楽しむ方法は二つ、ひとつは香りを楽しむ100度の熱湯で淹れる方法、ふたつめはお茶の甘味を楽しむ60度から70度の熱湯で淹れる方法です。冷水を使って水出しにして、さわやかな甘みを楽しむの別の方法があります。保存は真空包装するか、低温で温度変化のない場所がベストです。空気に触れないように保存するのがコツです。茶香好友WebShopでは三峽の名人「黄正忠」茶師の碧螺春、龍井茶を紹介しています。
***写真は青心柑仔「新芽」***
2008.05.29「大葉烏龍種」
今週の一枚2008.5.29
台湾南部で台湾茶を生産するうえで重要な茶樹として「大葉烏龍種」があります。茶葉に厚みがあり、新芽が肥大しやすく、白毫が豊富、こんな特徴をもった茶葉からは緑茶、烏龍茶、紅茶が作られます。春先、秋口に新芽が伸び始めたときに新芽の甘さを利用した緑茶を作ります。ここからしばらく成長し茶葉に厚みが出てくると芽先の甘さと半熟成若葉の香りを生かした烏龍茶生産。晩春・秋には程よく熟成した茶葉の香りを最大限引き出した紅茶生産となります。1本の茶樹から同じシーズンに全部のお茶が作られることはありません。茶香好友WebShopでは花蓮高茶師の手による大葉烏龍種の緑茶、烏龍茶、紅茶を取り扱っております。興味のある方、飲み比べてみるのも面白いですよ。
***写真は「大葉烏龍種」***

2008年6月

2008.06.05「青心烏龍種」 2008.06.12「ウンカ芽・青心烏龍種」
今週の一枚2008.6.5 今週の一枚2008.6.12
台湾茶を生産するうえで欠かせない品種「青心烏龍種」です。白毫(ペコ)と言われる産毛のすごさを実感できるでしょうか。福建省より持ち込まれた茶樹は「文山地区」において「文山包種茶」へ発展し、「南投縣鹿谷郷」では「凍頂烏龍茶」として発展しました。比較的寒さに強い品種なので標高の高い「高山地区」での栽培もはじまり「梨山茶」「阿里山茶」「竹山茶」などの「高山茶」として高級茶路線を歩むことにもなりました。ウンカの食害にあった新芽を使い加工した「椪風茶」は東方美人茶として世界に名を広めました。白毫が肥大し、茶葉が厚く柔らかいので、甘みと花香が特徴的です。茶香好友WebShopでは青心烏龍種より作られた包種茶、高山茶を販売中です。
***写真は「青心烏龍種」の新芽***
「椪風茶」は別名「膨風茶」「東方美人茶」「白毫烏龍茶」「香濱烏龍茶」などたくさんの呼び名があります。農暦の端午節前後、茶の害虫「ウンカ」台湾名「小綠葉蝉浮塵子」による食害で被害を受けた新芽を用いて作り上げたお茶。ウンカは肥大した新芽から樹液を吸い上げます。すると新芽は肥大するのに茶葉は大きくならず独特の風味をもった茶葉となります。青心烏龍種の少し紫がかった新芽は状態が良い夏茶の証拠、茶葉に見える斑点が食害にあったしるしです。下のほうの茶葉と大きさが極端に違うのは成長が阻害されたからです。このような新芽を「ウンカ芽」と呼び椪風茶にはなくてはならぬ茶葉です。古来製法で製茶すると「蜜香」と言われる独特な香りがあり、青心烏龍種で作ると蜜のような甘みがします。茶香好友WebShopでは蜜香紅茶、緑茶を販売中です。椪風茶とは違う香りと味をお試しください。
***写真は「青心烏龍種」のウンカ芽***
2008.06.19「金萱種」 2008.06.26「茶の発芽」
今週の一枚2008.6.19 今週の一枚2008.6.26
通称「金萱種」の茶樹は母樹「台農8号」、父樹「硬枝紅心」より作りだされた新品種で中華民國70年(1981年)に正式に「台茶12號」と命名された茶樹です。その特徴は「葉形橢圓形,葉肉厚,帶茸毛,香味甘韻,香氣高雅,富ナイ香,幽蘭花香」と言われています。ナイ香は俗に言われる「バニラの香り」、でもバニラの香りは絶対にしません。ナイの漢字が乳製品をあらわす文字だったので、このように誤訳されてしまったのでしょうね。高温高湿に非常に強く平地栽培に適していますが、阿里山などで高山茶としても栽培されています。近年バニラエッセンスなどで着香した粗悪品もあるので注意が必要です。一流の茶師は金萱種で「青心烏龍」の香りを出し、徐々に金萱茶の香りへと変化させます。こんなお茶にめぐり逢えたらラッキーですね。茶香好友WebShopでは文山包種茶金萱種、阿里山樟樹湖金萱種を販売中です。
***写真は「金萱種」冬芽***
品種改良には欠かせない種からの発芽です。お茶の種子は硬い皮におおわれており簡単に発芽すると思っていたら大間違いでした。昨年8月に台湾茶の種子を入手したので、専門家にアドバイスをもらいさっそく種まき。ひとつはごく普通に種まき、もうひとつは専門家のアドバイス通り種まき。結果は専門家の指示に従ったほうは60%程度発芽したのに対して、素人蒔きしたものは全滅でした。昨年8月に蒔いた種が発芽したのは、何と4月に入ってからです。その間、温度管理と湿度管理をきちんと行い、寒く乾燥した冬は特に苦労しました。発芽したお茶の木は順調に成長すれば4年目には収穫ができるはず。その前に日本の冬を越せるのか、まだまだ試練が待っています。もう少し成長したら各教室でお披露目したいと思っています。お茶の品種改良には気の遠くなるような時間と努力・愛情が必要なんですね。
***写真は「茶の発芽」***