今週の一枚 2008年7月-9月

2008年7月

2008.07.03「椪風茶の室内萎凋」 2008.07.10「緑茶・包種茶・紅茶の分類」
今週の一枚2008.07.03 今週の一枚2008.07.10
今年の椪風茶(東方美人茶)は民國93年に匹敵する品質の良さです。このような高品質のお茶は新茶として味わうのも良いのですが、数年熟成してからゆっくりと楽しみたいものです。今年購入ロットも決定し秋まで台湾で熟成してからお披露目です。椪風茶には旧製法と新製法があり、それぞれ特徴が違います。旧製法は文山地区の代表的な製法で、青心烏龍種の甘味を最大限生かすための技術。新製法は新竹、苗栗で近年多くなってきた製法で青心大有種の香りを最大限生かすための製法。旧製法が自然の恵みを巧みに使いこなすことに対して、新製法は人工的に環境を大きく変えながら香りを引き出します。出来上がったお茶の好みは個人それぞれです。お茶の甘味派、お茶の香り派・・・あなたの好みはどちらでしょうか。
***写真は「椪風茶の室内萎凋」***
包種茶(球状・條型)と緑茶、紅茶の違いはどこにあるのでしょうか。書籍などによると緑茶は醗酵度ゼロ、紅茶は100%醗酵したもの、包種茶(青茶)は醗酵度1%から99%までのものと書いてあるのが大半。しかし、室内萎凋(送水)を10時間以上行った緑茶や完全醗酵しているはずなのに緑色した紅茶が流通しているのも現実です。写真は椪風茶(東方美人茶)を殺菁している様子ですが、これはこの時点で発酵を止める作業です。緑や褐色した茶葉が混在しているのがよくわかります。この状態を見るとまさに緑茶と紅茶の中間といった感じがします。管理人主催の泡茶教室では緑茶は日光萎凋を行わず殺菁を行う。包種茶は日光萎凋も殺菁も行う。紅茶は日光萎凋を行うが殺菁は行わない。このように教えています。これは台湾生産現場各地で実体験して学んだことです。このように分類すると、緑茶のような包種茶や緑色が強い紅茶も説明がつきます。皆さんはどのように学んでいますか?
***写真は「椪風茶の殺菁」***
2008.07.17「台湾紅茶の揉捻・醗酵」 2008.07.24「台湾緑茶の室内萎凋」
今週の一枚2008.07.17 今週の一枚2008.07.24
台湾紅茶の揉捻は包種茶や球状茶とは少し違います。包種茶の場合、日光萎凋、室内萎凋(送水)、殺菁の後、揉捻を行います。緑茶の場合も殺菁の後、揉捻を行います。台湾紅茶の場合、殺菁作業は行いませんので、いつ揉捻を行うのでしょうか。日光萎凋、室内萎凋を行ったら紅茶専用の揉捻機を使って4時間前後揉捻を行います。一度に行う量も半端でなく30Kgから40Kgを使い上から圧力をかけることなく行います。この揉捻作業の時に紅茶は醗酵が始まり進みます。揉捻前の茶葉は冷たいのですが、揉捻が進むにつれ徐々に温かくなってきます。この温度上昇が醗酵が始まったサイン。開始直後の香りと途中の香り、終了後の香りの変化は紅茶づくりの一番の楽しみです。なぜミントのようなスッとする香りが出てくるのか不思議体験をするには現地に行くしかありませんね。今秋、紅茶製茶実習を行う予定です、スケジュール発表をお見逃しなく。
***写真は「台湾紅茶の揉捻・醗酵」***
台湾緑茶は摘み取った茶葉を日光萎凋させることなく室内萎凋を行います。ここが日本緑茶との一番の違いです。室内萎凋を行った茶葉は萎凋香という独特な香りが作り出され、茶葉の甘味が凝縮されます。包種茶のようにある程度の厚さに積み重ねて萎凋することはなく、薄く広げるのがポイント。途中で攪拌やきりかえし等は行わず、茶葉をゆっくりと休めながら水分を徐々に抜いていきます。この工程が悪いと渋みの強いお茶になってしまうので注意が必要です。室温は20度より低く、湿度は70%より高い状態に保った無風の室内で茶葉はゆっくりと緑茶になる準備をするのです。この過程を12時間ほど行った後、殺菁、揉捻を行い「台湾龍井茶」「台湾碧螺春」などのお茶になります。茶師の腕が発揮される工程なのですが、何とも地味な作業なんです。
***写真は「台湾緑茶の室内萎凋」***
2008.07.31「茶凍(茶ゼリー)」
今週の一枚2008.07.31
暑い夏のデザートとして「茶凍」はいかがですか?台湾茶を使って作った簡単で手軽なゼリーです。用意するものは「台湾茶葉」「ゼラチンパウダー」です。いつも飲むよりも少し濃いお茶を淹れます。大量に作りたいときは薬缶や鍋でも大丈夫ですが、必ず沸騰したら火を止めてすぐに茶葉を入れます。ゼラチンパウダーは少量の水でもどしておき、淹れたお茶が熱いうちに投入して撹拌します。このまま容器に入れて冷たく冷やせば出来上がりです。東方美人茶、文山包種茶、金萱茶、ジャスミン茶、台湾紅茶、紅玉などいろいろな茶葉で試してみるのも楽しいですね。お好みによって砂糖や蜂蜜などで甘みを加えたり、生クリームをホイップしてトッピングするのも楽しいですよ。今夏のデザートにこんなお楽しみはいかがですか。
***写真は「東方美人茶茶凍」***

2008年8月

2008.08.07「袋揉捻」 2008.08.14「台湾製茶実習」
今週の一枚2008.08.07 今週の一枚2008.08.14
台湾球状茶を仕上げる時に必ず行う作業「袋揉捻」です。製法上この作業を行ったお茶を「烏龍茶」と分類します。台湾で生産されているお茶は「緑茶」「包種茶」「東方美人茶」「鐵観音茶」「紅茶」で包種茶を製法により次のように呼びます。袋揉捻をせずに焙煎を行ったお茶を「條型包種茶」、代表的なお茶は文山包種茶です。袋揉捻を行ってから焙煎を行ったお茶を「球状包種茶」、通称「烏龍茶」です。球状茶で70度程度の低温で焙煎したものを「清香」、温度を変化させ100度以上で焙煎し焙煎香をつけたものを「熟香」などと呼びます。清香の代表的なお茶は梨山や阿里山などの「高山茶」、焙煎の代表的なお茶は「凍頂烏龍茶」です。一般的なお茶の6大分類とは違う製法上からの呼び名もあるのでお間違いなく。
***写真は「袋揉捻」***
今年の冬茶を自分たちの手で作り上げようという企画がまとまりました。今年の冬茶は毎年行っている坪林に加えて、花蓮縣瑞穂で紅茶を作ろうという製茶実習初の取り組みとなります。台北縣坪林は昨年度包種茶製茶技術コンテスト優勝の蘇茶師に指導をお願いしました。茶摘、日光萎凋、室内萎凋、殺菁、揉捻、乾燥、焙煎、袋詰めまですべての作業を参加者が行います。一連の作業になるので宿泊は蘇茶事の自宅、家庭料理と美味しいお茶に囲まれた至福のひと時になると思います。新企画「紅茶を作ろう」は花蓮縣瑞穂にて名人「高肇煦」茶師の指導により大葉烏龍種の茶葉を使って紅茶を作ろうというもの。台北より特急列車で瑞穂まで移動して、茶摘から最後の袋詰めまで自分たちだけのお茶を自分の手で作ります。紅茶は醗酵時間が長いので、夜は高茶師の義姉「東昇茶荘」併設の民宿に宿泊します。揉捻、醗酵により香りが大きく変化し、ミント香が出てくる不思議を体験します。自分でお茶つくりを体験し、そのお茶を楽しみたいという人には至極のひと時となるはずです。
***写真は台湾製茶実習「茶摘」***
2008.08.21「台湾製茶実習、ざる振り」 2008.08.28「台北縣坪林郷」
今週の一枚2008.08.21 今週の一枚2008.08.28
日光萎凋、室内萎凋いろいろな場面で必ず行う作業「ざる振り」です。円を描くようにして振るのですが、なかなかうまくいきません。初めて参加していきなり振れる人もいますし、なかなか上達しない人もいます。管理人は後者のほうです(笑)当然、製茶関係者はほとんどの人が簡単に振りますが、中には下手な人もいますのでご安心を。ざるに広がった茶葉を一瞬で中心に集めてしまう楽しみを一緒に味わいませんか。写真は茶参福氏の技、販売用のお茶を作っていたので真剣な表情ですね。このように茶葉が踊るようになれば、そろそろ一人前ですね。
***写真は台湾製茶実習「ざる振り」***
毎年行っている製茶実習を行う場所「台北縣坪林郷」です。左側の緑色の建物が蘇茶師の製茶場兼自宅、こちらで寝食を共にしてお茶を作ります。このように何もない場所ですが、自然という大きな恵みがあります。すぐ横には台北市700万人の飲料水を供給するダムに清水を注ぐ渓流があり、この渓流からの水蒸気がお茶の生育に大きな影響を与えています。ダムの上流ということで生活排水や畑に使用する肥料・農薬には大きな制限が加えられています。もちろん茶畑は落花生殻から作られた有機肥料などを使い、化学農薬使用はされません。食材は近くの畑で収穫したものや地鶏、野豚、渓流の魚などがメイン。コンビニも車で相当時間走らないとありません。家の前までいろいろな物を売りに来るトラックが昔の日本を思い出させます。こんな環境の中でお茶を作るんですよ。現在、台湾において自分でお茶を作ってみたい人の参加を募集しています。
***写真は台湾製茶実習場所「台北縣坪林郷」***

2008年9月

2008.09.04「製茶実習:蘇志成茶師」 2008.09.11「台湾鉄路自強号」
今週の一枚2008.09.4 今週の一枚2008.09.11
2007年度台北縣市包種茶製茶技術コンテストにおいて史上最年少でチャンピオンに輝いた「蘇志成」茶師が「茶香好友製茶実習」の指導茶師です。兄「蘇文松」茶師は2004年全国茶摘みコンテストで全国第4位と指導者としては最高の取り合わせ。しかも2007年石碇郷文山包種茶冬茶比賽で特等奨を獲得した鄭茶師もお手伝いをしてくれることになっています。現在の台湾茶に欠かせない花のような香りの秘密が、製茶実習を通して少しずつ解明できてきます。自分で摘んだ茶葉がいろいろな工程を経て文山包種茶として完成する喜びを一緒に体験しませんか。蘇志成茶師が参加者の疑問や質問に対していろいろと教えてくれますよ。
***写真は製茶実習指導茶師「蘇志成茶師」***
花蓮縣瑞穂郷で行う「紅茶」の製茶実習では鉄道を移動手段として利用します。花蓮市部なら台北松山空港から空路も選択できるのですが、お茶づくりには残念ながら利用できません。今回は交通部台湾鉄路の特急「自強号」を利用する予定です。台北駅より約4時間の列車の旅はまた別の思い出になることでしょう。トイレも完備しているので車内で飲み食いしても安心ですね。また、車内販売もありお弁当やお菓子など購入することができます。ゴミは定期的に乗務員が回収に来るのでとても清潔なんですよ。また、乗車前に台北駅でいろいろな物を買いこんで楽しむのもいいですね。北に向かい、そこから南下するルートで海岸線を通り天気が良ければきれいな景色が見られます。お茶づくりにチョットした楽しみが加わりました。
***写真は台湾鉄路自強号「車内販売」***
2008.09.18「台風被害」 2008.09.25「ポン菓子とブヌン族」
今週の一枚2008.09.18 今週の一枚2008.09.25
秋台風というより夏台風の性格をもった台風13号は石垣島で大きな被害を出したあと台湾へ上陸しました。雨風がすごく南投縣では大雨による増水で建物の土台が流されホテル倒壊被害が発生しました。この周辺では橋が流されたり、土砂崩れでライフラインが寸断されている地区もたくさんあるようです。台風の中心が通過した台北地区でもトンネル崩落や道路陥没、浸水被害が多数報告されています。被災された方に心よりお見舞い申し上げます。この台風、迷走の上九州にも接近しているようでこれからの警戒が必要です。製茶実習を行う坪林でも被害が出ていますが、予定している茶樹や工場施設には被害がないとの報告です。また花蓮縣瑞穂でも大雨被害が出ていますが、台地に点在している茶畑に被害はないとのことで一安心です。今年は茶樹の生育も順調で期待が大きいのですが、このような自然災害の怖さを痛感します。
***写真は「廬山温泉區」TVBS新聞台より***
秋の製茶実習を行う花蓮縣は原住民が多く住む場所です。現在の台湾人が定住する前から定住していた民族の一つ「ブヌン族」は縦谷地区に居住地が多くあります。その民族の特性は、山林で生きる知恵に富んでおり、自然を核にしています。自然の音、自然の味、自然の色を大切にし、ブヌン族の日常道具では本来の形がそのまま用いられており、飾りなどは施しません。音楽の方面では、集団でのハーモニーで行う八部合唱が知られています。春の収穫祭「打耳祭」では花東縦谷一帯にまるで天から降ってきたような歌声が響き渡ります。このブヌン族の人がポン菓子の移動販売を行っていました。原住民の人は日本語堪能な人が多く楽しいひと時を過ごしました。しかし、ポン菓子は懐かしい素朴な味でした。新しい人との出会いに感謝です。