文山包種茶の生産過程(製茶実習より)

茶香好友

どうして茶葉がお茶になるのか、、、

■中華民国台湾台北縣坪林郷大林村鶯仔瀬の「清境茶園」蘇茶師に指導をお願いいたしました

▼坪林郷
 台北市内より宜蘭県に抜ける山道の頂上部。険しい渓谷に囲まれ、水、空気ともに最高水準です。この山系は雪山山系の最北部にあたり、豊かな水をたたえています。この地区の水がはるか下流に下ったところにあるダムが台北市民の最大の水がめになっています。したがって、有機化学物質や農薬の使用が禁止され、建物の増築も制限が加えられています。渓谷に沿った山の斜面に茶畑は広がります。この環境がお茶の芸術品といわれる「文山包種茶」を生み出したのですね。

製茶実習・体験 製茶実習・体験 製茶実習・体験

ここは台北市内より車で1時間半ほど北東の山の中です。写真は坪林茶畑のすぐ横の渓流です。左側の森の隣が茶畑となります。ここからはるか下流にあるダムが台北市民の大切な水がめになります。したがって原住民以外の釣りや川への立ち入りは禁止されています。川には山女、アマゴや川蝦が泳いでいます。
茶畑は山の斜面を利用してつくられています。山から渓谷へ流れ込む地下水脈をうまく利用して栽培しているのですね。この畑から100m横は渓谷の崖になっています。やはり、環境が大切なんだなぁと考えさせられる場所です。この茶葉の状態がちょうど茶摘に適しているのだそうです。この見極めが第一関門ですね。

製茶実習・体験 製茶実習・体験 製茶実習・体験

茶畑の刈取り直前の様子。この畑はこれから機械(通称バリカン)を使用して茶摘を行う予定。あとでわかるのですが、機械で摘むから簡単だと思っていたら、熟練の技術が必要ですね。また、最後の製茶作業の時に枝、細断された茶葉をひとつずつ人手で取除くのは、大変な作業。他地区の機械刈とはちょっと違います。

茶畑の通路に敷詰められた落花生の殻です。厚さは20cm以上あります。下のほうは完全に堆肥化されています。除草の手間を省くことと茶畑の土をやわらかく保つための知恵ですね。茶樹を整枝したあとの小枝なども一緒に敷かれています。土壌菌もしっかりと繁殖しているようです。畑の土壌流失保護のためにも役に立っているようです。ご先祖様の知恵には頭が下がります。
これから我々が製茶作業を行う茶葉です。茶樹にしっかりと育てられ、摘み取られる時を待ちわびているようにも思えます。茶畑の後ろに少し見えるのは椰子の仲間でビンロウ樹です。この椰子の実を嗜好品として食べています。覚醒作用、発癌作用があるようで、皆様にはお勧めできません。街中にもたくさん売っていますがご注意を。

蘇茶師による茶摘指導です。腰につけた大きな籠は文山地区特有の形ですね。竹製で中の茶葉が蒸れないように通気性が良くなっています。茶摘は開面採といって、一本の茶樹を回るようにして茶葉を摘み取る方法です。通路に沿って両側の茶葉を摘み取ることはしません。必ず 1本終了したら次の1本となります。茶葉が籠いっぱいになればノルマ終了ですが、なかなかたまらない。

手摘みが良いお茶、機械摘みは悪いお茶???

参加者総出でひたすら茶摘作業です。摘み終わったあとの茶樹をひと目見た蘇茶師のひと言「上等だけどまだまだ」、要するにダメだしされたようです。しかしみんなは一心不乱に茶摘です。何とか目標の量になるまでがんばろう。実は全然量が少なく、蘇茶師のおばあちゃんが「ささっと」摘んだ二籠を頂戴したのでした。これは日光萎凋開始の時間制限があるための緊急処置でした。

製茶実習・体験 製茶実習・体験 製茶実習・体験

機械(バリカン)を使った茶摘作業です。三人一組で作業を行いますが、息があわなければガタガタになってしまいます。最後尾にいる背の高い人は蘇茶師の実弟、まじめな性格でよく気がつく人です。この方もコンテストで何度も入賞している名人のひとりです。カリスマ茶師の蘇兄とまじめな蘇弟、このコンビが生み出すお茶は坪林でもピカイチのお茶と評判です。ちなみに帽子を冠ってる女性はご近所のお手伝い。この女性が酒豪、あとの飲み比べで負けてしまいました。脱帽!

製茶実習・体験 製茶実習・体験 製茶実習・体験

バリカンで刈り取っている入口部分です。ガイドの上端を茶樹の上部にあわせて刈り取っているようです。刈り取った後ろを見ると見事なまでにまっすぐ。左右のバランスをしっかりとり刈ると、後ろに見える袋に刈り取った茶葉がおさまります。刈り取った茶葉をチェックしたところ、我々が手摘みで摘み取った茶葉よりきれいでした。恐るべしバリカン。
勇気ある生徒さんがバリカンのお手伝い。右下の部分がちょっとえぐれているのがわかりますか。ちょうどこの手前からお手伝いを始めたのです。結果が段差攻撃、見るに見かねて蘇弟がお手伝い、見事にまっすぐに直りました。簡単そうに見えても、大変な作業なんですね。勇気ある生徒さん、ご苦労様でした。一ヵ月後に行ってみたら、きれいに直ってよく育っていましたよ。こんな楽しみも実習のひとこまですね。

日光萎凋・室内萎凋っていつまでやるの・・・

摘み取った茶葉を「日光萎凋」、ざる(大きいんです)に茶葉を移し変え、日光で水分を飛ばしていきます。ざるに入れる茶葉の量が悪いと、萎凋失敗になります。茶葉が蒸れないように手早く、かつやさしく、みんな茶葉を扱う機会があまり無いので、試行錯誤しながら楽しんでいます。茶葉を扱う時、手で握らず、指先でチョコンとつまむようにするのが肝心です。これが難しいんです。

製茶実習・体験 製茶実習・体験 製茶実習・体験

蘇茶師による手直し、残念ながら全部のざるを手直しされてしまいました。説明を聞きながら学習の時間です。この時茶葉をつまむ動作は優雅で美しい。こんな動作ができるようになりたいですね。このざるいっぱいに広げた茶葉、明日にはお茶になるんですね。どんなお茶ができるのか期待と夢で胸がいっぱい。この作業、途中で3回ほど撹拌を行い、むら無く萎凋させます。
日光萎凋中の茶葉です。萎凋時間は天気の状態、風の強さ、湿度によって大きく変わります。常に茶葉の状態をチェックしながらタイミングを計ります。天候が悪い時には「熱風萎凋」を行います。しかし味、香りは自然の力にはかなわないようです。この日光萎凋を行うことで 10kgの生茶葉が9kgに減少してしまいます。約1割の減量ですね。人間のダイエットもこのくらい簡単にできればいいのにね。
日光萎凋終了直後の茶葉、少しシナシナとなってきました。ざるの上には隙間が少しできています。やはり茶葉がダイエットしたのでしょうか。この状態ではまだまだ、おなじみの包種茶からはかけ離れた存在です。これからどんどん美しくなっていく姿を想像しながら茶葉を愛でています。
日光萎凋終了した茶葉をざるにまとめ、専用のラックに収納します。左側の緑のシートの上の茶葉は先ほどのバリカンで摘み取った茶葉です。量が多いので直接シートの上に広げ、日光萎凋しています。今日は我々のセレクトティーとバリカン茶が時間差攻撃で同じ作業を行っていきます。右側で歩いているのは、蘇茶師のお母さん。この道ン十年の大ベテラン。茶摘のスピードに舌を巻きましたが、さすがに全工程熟練の技が光っています。

走水とは・・・

ラックにおさまった茶葉です。これから室内萎凋の長丁場を控えて、ラック内に鎮座しております。みんなで「おいしいお茶になれ!」などとおまじないをかけてみました。まだまだ日が高いのに、もう一日いたような気分。すごく充実した時間をすごせています。坪林の自然と蘇ファミリーに感謝です。
走水(室内萎凋)で一番大切なのが茶葉の攪拌です。茶師は広げた茶葉を一瞬で中心に集め作業の無駄と茶葉に与えるストレスを最小限にします。このざる振りができるようになれば一人前も近いかも。
走水(室内萎凋)中の茶葉です。ゆっくりと茶葉が呼吸することによって水分が徐々に抜けてきます。この作業を醗酵と解説している人もいますが、決して醗酵ではありません。なぜならば、、、続きは教室で

製茶実習・体験 製茶実習・体験 製茶実習・体験

走水の最終段階、水分が抜けた茶葉を強く攪拌して醗酵を促します。茶葉の状態を一つ一つ確認して揺青機に入れるもの、手作業で行うものに分けて行います。
揺青機は竹で編んだ伝統的な機械です。回転は非常にゆっくりで毎分18回転前後で、茶葉に余分な傷をつけないようにします。
揺青機からだしかごに移した茶葉です。このまま香りが変化するまでゆっくりと醗酵させます。ここまでの作業で大切なことは茶葉にストレスを与えないこと、大切に扱いましょう。

製茶実習・体験 製茶実習・体験 製茶実習・体験

殺菁から揉捻、乾燥

いよいよ殺菁です。茶葉の醗酵酵素を熱によって止めてしまう作業です。この殺菁からは一気に作業が進みます。
茶葉から水分が抜けすぎていると茶葉は焼け焦げ、水分が多いと蒸されすぎになります。作業時間は茶葉の状態を見極める茶師の目が決めます。

製茶実習・体験 製茶実習・体験 製茶実習・体験

殺菁が終わった直後の茶葉、この熱々状態のまますぐに揉捻作業に入ります。
熱々状態の茶葉を揉捻機でしっかりと揉みこみます。大切なことは熱を保っていることと加重、加重が足りないとぼけたお茶になり、強いと茶葉が千切れてしまいます。

製茶実習・体験 製茶実習・体験 製茶実習・体験

揉捻後の茶葉、まだ湯気が立ち上がるくらいの温度を保っています。このまま乾燥してしまうと固まりになってしまうので、すぐ次の作業となります
茶葉が温かいうちに茶葉をほぐします。玉解き機を使ったり、手作業でほぐしたりします。

製茶実習・体験 製茶実習・体験 製茶実習・体験

茶葉の水分を乾燥させます。手作業で行う機械と自動で行う機械があります。どちらも瓦斯火で温風を作り出して乾燥します
二度乾燥機にかけて水分を飛ばします。この状態で茶葉を保管しても20日前後しか品質が保てません。
最後に焙煎器でゆっくりと水分を飛ばします。文山包種茶は焙煎香をつけないので低温で2時間かけて水分を0.3%程度まで落とします。

製茶実習・体験 製茶実習・体験 製茶実習・体験

完成した茶葉をテイスティング用に少し取り分けてみました。自分たちで丹精こめたお茶です。はたしてどのような味と香りなんでしょうか
この輝き、まさしく文山包種茶です。自分たちで製茶したのだと思うとこのお茶を早く飲みたい、でももったいない、、、
最後に記念撮影、蘇茶師にはいろいろとお世話になりました。製茶実習指導中に隣で自分たちの販売用のお茶を作っていました。次回もよろしくお願いします