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台湾茶に関して

広義に台湾で原料茶葉生産、加工された茶をさし、海外産輸入茶葉の台湾販売は含まれない。
1990年代から海外生産茶葉の輸入量が増加し、2000年代には高山茶ブームなどで安価な海外産(ベトナム、大陸)茶葉が多く輸入され産地偽装されて販売されている。2010年代には大陸観光客相手に海外産茶葉を茶産地で地名入りの袋に詰めて販売している業者、茶農家が爆発的に増えた。茶の知識がない観光客相手に阿漕な商売をするものが多くなり、台北市内でも台湾産優良茶を購入するのは難しくなっている。
大陸は途絶えた茶歴史(文化大革命・天安門事件などで弾圧され生産方法が散逸した)で、粗悪品が乱立し事態を収拾するため「標準」などを定めて、国家基準にする必要があった。台湾では日本時代以前から日本時代、第二次世界大戦以降と技術などが散逸することがなかったため、あえて標準など定めて画一的なお茶生産に向かう必要がなかった。そのような環境下、お茶は伝統と革新が融合し、伝統茶と新しいお茶が融合している。それゆえに規格が決まったものでない難しさを感じることがある。

主な台湾茶と種類

台湾各地で生産され、地域ごとに特色あるお茶が生産されている

凍頂茶
(dòng dǐng chá)
凍頂茶(凍頂烏龍茶)の主産地は南投縣鹿谷郷(標高500m~900m)、青心烏龍種の半球状、球状包種茶に凍頂式焙煎を加えた包種茶。近年では新品種や周辺凍頂山系(標高1000mから1800m)の茶葉も使用
文山包種茶
(wén shān bāo zhŏng chá)
新北市(旧台北縣)坪林、石碇、深坑、汐止などの文山地区及び台北市南港が主産地、青心烏龍種の清香條型包種茶。近年では新品種の比率が増えている。俗称「清茶」
東方美人茶
(dōng fāng mĕi rén chá)
桃園・新竹・苗栗・石碇・坪林が主産地。農暦端午節前後2週間の期間に生産されウンカ、浮塵子(小綠葉蟬)食害を受けた青心大冇種(桃園・新竹・苗栗)、青心烏龍種(石碇・坪林)の新芽を使い、半球状・條型烏龍茶。俗称「番莊烏龍」「白毫烏龍茶」「福壽茶」「香濱烏龍茶」「五色茶」「椪風茶」など別名が多い。茶葉色は白、綠、黃、紅、褐の五色
松柏長青茶
(sōng bó cháng qīng chá)
主産地は南投縣名間郷松柏嶺、八卦山脈の最南端200mから400m。「埔中茶」松柏坑茶」と呼ばれるが、1975年台湾前總統蔣經國により命名。機械化製茶で省人力生産している。
木柵鐵觀音
(mù zhà tiĕ guān yīn)
主要産地は台北市文山区木柵。鐵觀音種の茶葉を在来製法で製茶。張迺妙、張迺乾兄弟が大陸安溪から移植した茶葉、伝統製法(大陸は散逸)が現在に伝わる。茶葉生産は木柵地域から2010年ごろ文山坪林が大半となる。
三峽龍井茶
(sān xiá lóng jǐng chá)
主要産地は新北市三峽茶区。「青心柑仔」一芯一葉または二葉で採茶、日光萎凋を行わず室内萎凋を行い緑茶製法で仕上げたお茶。
阿里山珠露茶
(ā lǐ shān zhū lù chá)
主要産地は嘉義縣阿里山石棹地區1000mから1700mの高山地区。1986年副總統謝東閔により命名。青心烏龍種、金萱種が主要茶葉の球状包種茶。特に金萱種が有名。
高山茶
(gāo shān chá)
主要産地は梨山、阿里山、杉林渓、玉山などの標高1000m前後より高高度。標高2000m以上の産地は高冷茶と呼ぶ。「平地茶」と対義語。清香系青心烏龍種の球状包種茶。1980年代までは熟香(焙煎)系の茶葉が主流であった。
龍泉茶
(lóng quán chá)
主要産地は桃園市龍潭区。青心烏龍種と新品種(金萱種、翠玉種が多い)の半球状清香包種茶。1980年代は手摘が主流であったが現在は機採となっている。1983年國家總統李登輝が命名。
日月潭紅茶
(rì yuè tán hóng chá)
主要産地は南投縣日月潭、標高500mから800m。日本時代、中央研究所技師新井耕吉郎がインドアッサムより大葉種の茶葉(阿薩姆種)を移植し紅茶栽培、1978年南投縣縣長劉裕猷が命名した。阿薩姆、台茶七號、台茶八號や新品種台茶十八號(紅玉)が主な品種。
蜜香茶
(mì xiāng chá)
主要産地は花蓮縣瑞穗郷舞鶴村、近年では台湾全土で作られている。2000年前花蓮縣無農薬栽培推奨でウンカ被害が大きくなり対策を、瑞穗郷舞鶴村の茶農高肇昫が考案開発したお茶で、2006年世界紅茶コンテスト優勝したことで有名になった。蜜香紅茶、蜜香緑茶、蜜香烏龍茶がある。
蘭陽茶
(lán yáng chá)
主要産地は宜蘭縣礁溪郷、冬山郷、大同郷、三星郷。青心烏龍種、四季春種、新品種の清香、熟香半球状包種茶。
紅烏龍
(hóng wū lóng)
主要産地は台東縣鹿野郷。2008年茶業改良場臺東分場が茶産業衰退した鹿野地区(1980年から1995年福鹿茶最盛期)の特色茶として開発した。蜜香紅茶をベースに既存の製法を活かした、新しい風味の球状烏龍茶。紅水烏龍(凍頂系)とは全く違うお茶。
林内茶(lín nèi chá)
古坑茶(gŭ kēng chá)
主要産地は雲林縣林内郷、古坑郷。青心烏龍種、新品種の半球状・球状包種茶。近年、咖啡園に転作農家が増え、茶葉生産量は激減している。
六龜茶(liù guī chá)
那瑪夏茶(nà mǎ xià chá)
主要産地は高雄市六龜區寶來、那瑪夏。青心烏龍種、新品種(主に金萱種)の清香半球状・球状包種茶。阿里山系に近い風味の茶葉が多い。
滿洲茶
(mǎn zhōu chá)
主要産地は屏東縣満州郷。大陸から持ち込んだ茶種の実生茶樹の半球状・球状包種茶。他地区とは異なる伝統製法で作られたお茶が多いが生産量は少ない。

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